ポーカーでなかなか勝てない人は「ハンドレンジ」を意識しているでしょうか。ポーカーを攻略するにはゲームに参加するかどうかを判断するためのハンドレンジの理解が不可欠です。
ハンドレンジは確率的に勝つ可能性のあるハンド(手札)を示す表となっています。視覚的に把握しやすいものですが、問題なのは覚えるべきハンドレンジが1つではないということです。ポジション(アクションする順番)や状況により同じハンドでも勝率は変わります。
ポーカーの攻略には勝率の把握が必要
ポーカーを攻略するには常に自分のハンドの勝率を把握することが必要です。
たとえばヘッズアップ(1対1)の対決となった時、勝率が50%を超える時にゲームを続ければ、長期的には勝ち越すことが予想されます。人数が3人であれば34%以上の勝率が必要になるでしょう。
実は配られたハンド(手札)のみで勝率を計算することは可能です。もちろんシチュエーションに応じて即座に暗算するのは困難ですが、あらかじめ勝率を算出し手持ちのハンドでどのようなアクションをするのが適切なのかをまとめた表があります。
それが「ハンドレンジ表」です。
ハンドレンジについて
ハンドレンジはゲームに参加する範囲
ポーカー攻略に必要なハンドレンジにもいろいろありますが、まず基本として覚えたいのがプリフロップでゲームに参加するハンドレンジです。
ハンドレンジは「2」から「A」までの13枚のカード2組からなる169通りの組み合わせが表になっています。その中でゲームに参加すべき組み合わせが色付けされています。
ただしポジションによってハンドレンジの範囲は異なるので、それぞれ覚えておくことがポーカー攻略には必要です。とはいっても簡単に覚えられるものではないので、慣れるまでは表を見ながらプレイするとよいでしょう。
シチュエーションによって変わるハンドレンジ
ハンドレンジはゲームのシチュエーションによっても変わります。たとえば自分がUTG(アンダーザガン)のポジションだとします。あとのポジションにいるプレイヤーがどんなハンドを持っているのかわからない以上は、できる限り強いハンドでゲームに参加する必要があります。
そこでUTGのハンドレンジはうしろのポジションよりも狭くすることが必要です。
前のプレイヤーがみなフォールドしているか、あるいは誰かがレイズしているかなどによりハンドレンジは変わります。さらにそのレイズがどのポジションのプレイヤーによるものかによっても異なります。
このように考えると、ポーカー攻略に必要なハンドレンジ表は相当数が存在することがわかります。プロのポーカープレイヤーであれば何万ハンドものゲームを経験し頭に入ってますが、初心者にとってすべてを把握するのは難しいでしょう。
ハンドレンジのアプリなどを利用する
そこでポーカーを攻略するためにシチュエーションごとにハンドレンジが表示されるアプリなどを利用することをおすすめします。たとえばスマホアプリの「NTPoker」という無料アプリがあります。
※ 以下の画像もすべて「NTPoker」より
ここに「ハンドレンジ」があるので選択してみます。
これはUTGのポジションがプリフロップでレイズすべきハンドレンジを表示したものです。ハンドの「s」はスーテッド、つまり同じマークの2枚です。「o」はオフスーテッドで異なるマークの2枚となります。
すべての色が「RAISE」を示していますが、これはBB(ビッグブラインド)の1.0bb(ブラインドベット)に対してコールではなくレイズすべきことを示すものです。
これはUTGがBBの1.0bbに対する2倍の2betレイズをした場合、HJ(ハイジャック)がレイズすべきハンドレンジを示したものです。
一方でこちらはHJがフォールドした時のCO(カットオフ)ポジションがレイズすべきハンドレンジを示しています。
もしHJからSBまでがフォールドした場合、最後のBBがどんなアクションをすべきかを示したのがこのハンドレンジです。ごく一部を除き「コール」するように指示しています。
プリフロップのオープンレンジ
オープンとはプリフロップで自分の前のポジションがみなフォールドしている状態ののことです。つまり自分が最初にレイズするかどうかを判断するためのハンドレンジです。
以下に6人テーブルでのポジションごとのハンドレンジをご紹介します。ポジション名をプリフロップでのアクション順にまとめます。
- UTG:アンダーザガン
- HJ:ハイジャック
- CO:カットオフ
- BTN:ボタン
- SB:スモールブラインド
- BB:ビッグブラインド
なおSBは0.5bb、BBは1.0bbをベットしている状態です。また、このアプリではレイズは2.0bbレイズをする設定になっています。
UTGのハンドレンジ
※ 右下の数字は特に意味はありません
UTGはプリフロップで最初にアクションを決めるポジションです。色が付いているハンドでレイズしますが、色が半分になっているところは50%の確率でレイズかフォールドのどちらかを選ぶことを推奨しています。
UTGはすべてのポジションの中でもっともハンドレンジが狭くなることを頭に入れておきましょう。
HJのハンドレンジ
HJはUTGの次のポジションです。ポーカー攻略において、UTGの次にハンドレンジが狭くなることを覚えておきましょう。
これはUTGがフォールドした場合のハンドレンジとなります。
COのハンドレンジ
COはプリフロップにおいて、うしろに3人のプレイヤーが控えているポジションになります。そのためゲームへの参加率はまだ低いことがわかります。
UTGとHJがフォールドした状態でのハンドレンジがこちらです。
BTNのハンドレンジ
BTNになると、残りのプレイヤーは2人とあって参加率はほぼ半々になります。もちろんこれは前のポジションすべてがフォールドしている状態のハンドレンジです。
SBのハンドレンジ
NTPokerではSBのハンドレンジはBTNのハンドレンジと同じです。
プリフロップのコールレンジ
コールレンジはすでに前のポジションでほかのプレイヤーがオープンレイズしている場合にコールあるいはレイズするハンドレンジを示すものです。どのポジションがレイズしたのかによってハンドレンジが違うことをポーカー攻略のために頭に入れておきましょう。
UTGがオープンしている場合
UTGがオープン(ここでは2betレイズ)している場合のポジションごとのハンドレンジをご紹介します。
【HJのハンドレンジ】
色が付いているハンドでレイズします。たとえば「76s」は25%の割合でレイズし、75%の割合でフォールドするように指示しています。
【COのハンドレンジ】
色が付いているハンドでレイズします。色の割合によりフォールドも含まれます。
【BTNのハンドレンジ】
レイズとコールの割合が示されています。たとえば「66」の場合、レイズの割合は25%でコールの割合を75%にするよう指示しています。
【SBのハンドレンジ】
色が付いているハンドでレイズします。
【BBのハンドレンジ】
レイズとコールの割合が示されています。たとえば「T9s」(Tは「10」のこと)はレイズとコールの割合を半々にするよう指示していますが、「99」は100%コールを選択する様に指示しています。
HJがオープンしている場合
UTGがフォールドしてHJが2betレイズした場合の、HJ以降のポジションそれぞれのハンドレンジになります。
【COのハンドレンジ】
色が付いているハンドでレイズします。たとえば「AJo」の場合、半々の割合でレイズとフォールドをするように指示しています。
【BTNのハンドレンジ】
レイズとコールの割合を色の割合で指示しています。
【SBのハンドレンジ】
半々の割合でフォールドを指示するハンドもあります。
【BBのハンドレンジ】
コールできるハンドが多くなっています。
COがオープンしている場合
BTN以降のハンドレンジになります。
【BTNのハンドレンジ】
【SBのハンドレンジ】
【BBのハンドレンジ】
BTNがオープンした場合のハンドレンジ
COまでフォールドしBTNが2betレイズした場合です。
【SBのハンドレンジ】
【BBのハンドレンジ】
SBがオープンした場合のハンドレンジ
最後はSBが2betレイズした時のBBのハンドレンジです。
【BBのハンドレンジ】
かなり広い範囲でコールすることを指示しています。
そもそもハンドレンジは本当に役立つの?
プリフロップにおけるゲーム参加の判断に使えるハンドレンジをご紹介しましたが、そもそもポーカー攻略にハンドレンジは必要なのかと思う人もいることでしょう。
すべてのプレイヤーがハンドレンジを使うわけではない
というのも、すべてのポーカープレイヤーがハンドレンジに従ってアクションを判断しているわけではありません。特に初心者プレイヤーはハンドレンジを把握していないケースもあるため、ハンドレンジ外のハンドでレイズあるいはオールインをする可能性があります。
たとえばUTGが「86o」といったハンドでオープンレイズしていたらどうでしょう。それに対してフォールドするのはもったいないようにも思えます。
ポーカー攻略で必要なのは積極的に勝ちを狙うことではありません。負ける可能性が高い時には勝負しないことが大切です。
そのため、相手プレイヤーがどのようなアクションをしたとしても、自分は勝率を重視したアクションを選択することがポーカー攻略には必要となります。
強いハンドのみで参加すれば勝てるのか
一方でハンドレンジにかかわらず強いハンドのみでゲームに参加すればよいのではないかと思うかもしれません。たとえば「A」や「K」、「Q」といった強いランクのカードのみが配られた時にゲームに参加する方法があります。
しかしそのようなアクションを続けていると、ほかのプレイヤーにマークされます。オンラインポーカーにはメモ機能があるので、癖のあるプレイヤーはチェックされます。その結果、強いハンドを持っている時にはフォールドされて大きなポットを獲得できない可能性が出てきます。
プリフロップで数人が参加したら?
ハンドレンジはヘッズアップ(1対1)を想定したポーカー攻略ツールなので、プリフロップで自分の前のプレイヤーが複数人参加している状況(マルチウェイポット)ではうまく機能しません。
誰かがオープンしたレイズに対しコールが入った状況では、ハンドレンジは使わずに強いハンドの時にのみレイズするのがおすすめです。
マルチウェイポットの状況ではハンドレンジ表は使えないと頭に入れておきましょう。
みんなが同じハンドレンジを使うことに問題はない?
ポーカー攻略にハンドレンジを利用してアクションを決めるということは、ほかのプレイヤーにハンドレンジを推測されることになります。
実はハンドレンジはすべて同じではありませんし、使う人によって内容を変えることもあります。つまりハンドレンジは自分なりにアレンジしてよいということです。
ほかのプレイヤーもアレンジしている可能性がありますし、それをいかに推測するかもポーカー攻略には必要です。
相手プレイヤーのハンドレンジを推測する
ハンドレンジは自分のアクションを決めるためだけに利用するのではなく、相手のハンドを推測することにも使えます。
たとえばUTGでオープンレイズした相手とBTNのポジションにいる自分とのヘッズアップになったとします。
フロップに進み次のカードがボードに開きました。
「J♤4♢4♡」
これに対して相手がレイズしたとします。自分は「4」のカードを持っていません。警戒すべきは「4のスリーカード」ですが、相手が「4」を持ったうえでのレイズなのか、あるいはブラフなのか迷うことでしょう。
相手がUTGのポジションからプリフロップでレイズしたとなれば、おそらくそれなりに強いハンドを持っていると考えられます。そしてハンドレンジ表で「4」を含むハンドは「A4s」のみです。
よって「4」のカードを持っている可能性は低いと判断できます。さらにタイトなプレイヤーであればUTGから「A4s」のハンドでレイズする可能性は低いと考えられるでしょう。
ハンドレンジを使う際の注意点
ハンドレンジは自分の前のポジションで1人のみがレイズしている状況で使用します。もし自分のポジションがBTNで、その前に何人ものプレイヤーがフォールドせずに参加しているとハンドレンジは使えません。
そして低レートのテーブルほどポーカー初心者が多く、ゲーム参加率が高くなります。よってハンドレンジを使うシーンが少なくなる可能性があります。
まとめ:ハンドレンジをマスターしてポーカーを攻略しよう
ポーカー攻略ツールのハンドレンジはプリフロップでのアクションを決める時に役立ちます。ただしその種類は相当数ありますし、そのすべてを記憶するにはかなりの時間を要します。ハンドレンジは無料アプリなどで入手できるので、ポーカープレイの際に見ながらプレイして少しずつ覚えていきましょう。
慣れてきたら自分なりにアレンジするのもおすすめです。相手にパターンを読まれないように、同じハンドでもレイズとフォールドを割合を決めて使い分けるとよいでしょう。ポーカー攻略の基本としてぜひハンドレンジをマスターすることをおすすめします。